高齢の親名義の家を売却するには?成年後見・家族信託の基礎知識|旗の台エリアの売却相談から
2026/09/18
「親が施設に入ることになったので、実家を売って費用に充てたい」——旗の台エリアで売却のご相談を受けていると、こうしたお話を年に何度もお聞きします。ただし、親名義の家は『親自身の意思確認』ができて初めて売却手続きに進めます。この記事では、判断能力が低下した場合に検討される成年後見制度と家族信託について、不動産売却の視点から基礎知識を整理します。
なぜ親名義の家は「子どもの判断」だけで売れないのか
結論から言うと、不動産の名義人本人に売却の意思表示ができるだけの判断能力がなければ、たとえ実の子どもであっても代わりに契約を結ぶことはできません。
契約は名義人本人の意思が原則
不動産の売買契約は、名義人本人が『自分の財産をこの条件で手放す』と理解した上で結ぶものです。委任状があれば代理人が動ける場面もありますが、委任状自体も本人が内容を理解して作成する必要があります。
判断能力の低下は徐々に進むことが多い
軽度の物忘れの段階では意思確認ができても、進行すると難しくなるケースが多いです。『まだ大丈夫』と先延ばしにしている間に手続きの選択肢が狭まることも珍しくありません。
判断能力が低下した後は、どんな選択肢がある?
すでに判断能力が低下してしまった場合に検討されるのが、成年後見制度です。
成年後見制度とは
家庭裁判所が選任した成年後見人が、本人に代わって財産管理や契約行為を行う制度です。親族が後見人になれる場合もあれば、専門職(弁護士・司法書士等)が選ばれる場合もあります。
居住用不動産の売却には家庭裁判所の許可が必要
後見人が本人の自宅(居住用不動産)を売却する際は、家庭裁判所の許可を得る必要があります。許可までに時間がかかることが多く、『急いで現金化したい』というご希望には応えにくい面があるのが実情です。
後見開始までの手続きにも時間がかかる
申立てから後見人選任までは、書類の準備や裁判所での審理を経るため、一般的に数か月単位の期間を見込んでおく必要があります。売却を検討し始めた段階で、早めに司法書士や弁護士へ相談することをおすすめします。
判断能力があるうちに備える「家族信託」とは?
まだ本人がしっかり意思表示できる段階であれば、家族信託という選択肢もあります。
家族信託の仕組み
本人(委託者)が、信頼できる家族(受託者)に不動産の管理・処分を託す契約です。判断能力が低下した後も、あらかじめ決めた範囲で受託者が売却手続きを進められる点が特徴です。
成年後見制度との違い
成年後見制度は判断能力が低下した『後』に家庭裁判所が関与する仕組みであるのに対し、家族信託は判断能力があるうちに『あらかじめ』家族間で取り決めておく仕組みです。信託契約の内容によっては、家庭裁判所の許可を経ずに売却を進められる場合もあります。
契約は専門家を交えて設計するのが一般的
家族信託は契約書の設計次第で自由度が高い一方、内容に不備があると想定した通りに機能しないこともあります。司法書士や信託に詳しい専門家を交えて設計するケースが一般的です。
売却を見据えて、今からできること
いずれの制度も、動き出すタイミングによって選べる選択肢の幅が変わってきます。
早めに家族で話し合う
『まだ元気だから』という段階こそ、将来の住まいと財産についてご家族で話し合う機会になります。当社にご相談いただく際も、売却時期が具体的に決まっていなくても、査定を通じて資産の現状を把握しておくことが第一歩になります。
査定と専門家相談は並行して進めやすい
不動産の価値を把握することと、法律的な手続きの検討は別々に進めても問題ありません。当社では査定のご相談と合わせて、必要に応じて提携する司法書士・弁護士をご紹介することも可能です。
Q&A
Q. 親が認知症の診断を受けていますが、まだ会話はできます。今すぐ売却の契約はできますか?
A. 診断名だけで一律に判断されるわけではなく、契約内容を理解できる状態かどうかが個別に確認されます。ただし判断が難しいケースも多いため、早めに司法書士等の専門家にご相談いただくのが確実です。
不動産の名義と判断能力の問題は、売却のタイミングを左右する重要な要素です。旗の台エリアをはじめ城南エリアでご実家の売却をお考えの方は、査定のご相談だけでもお気軽にどうぞ。専門家のご紹介が必要な場合も、あわせてご案内いたします。
※本記事は2026年(令和8年)時点の情報です。制度の詳細や個別のケースについては、司法書士・弁護士等の専門家にご確認ください。
執筆:津島祐一(有限会社豊商事不動産 代表取締役)
宅地建物取引士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/AFP/住宅ローンアドバイザー/賃貸不動産経営管理士/J-REC公認不動産コンサルタント/J-REC公認相続コンサルタント
品川区戸越で昭和40年(1965年)に創業し、3代にわたり城南エリアの不動産を扱っています。売却のご相談は、売ると決める前の段階から承っています。代表あいさつ
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