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入居中のトラブル ◇耐震性能に問題がある場合、常に修繕義務を負うのでしょうか

首都直下型地震がくる可能性が非常に高まっていると言われる昨今。

賃貸物件を管理する大家さんにとって、地震の揺れによる家屋の倒壊や被害はとても不安なものではないでしょうか。

そこで今回は、物件の耐震性能に関して、大家さんの修繕義務を問うトラブル事例をご紹介します。

 

 

今回のトラブル・質問内容

 

 

貸主さんであるXさんは、長い間料亭を経営していましたが、建物が築70年を超え古くなってきたため建て替えを考えていました。

後に借主となるYさんは、その建物が持つ古い重厚な雰囲気をとても気に入り、結婚式が行えるようなブライダルレストランとして借りたいと交渉し、賃貸の契約に至りました。

しかし、借主のYさんが契約締結後に該当の建物の構造調査を業者に依頼し行ったところ、

“ただちに建物の崩壊につながる危険はないが、今後長期の使用に対しては、構造補強をする必要がある”

と診断されました。

借主Yさんは、借主さんサイドで自らある程度の補強工事を実施しましたが、本格的な耐震補強工事を実施するように貸主のXさんに対し要求しました。

これに対し貸主Xさんは、「築70年の古い建物であることを承知した上での契約であり、貸主側が耐震補強工事を行う義務はない。」と回答し、トラブルになりました。

今回のような場合、借主側の要求が通るのか、それとも貸主側の主張が通るのか。

どちらでしょうか?

 

 

結論

 

 

◇個別の事情による部分もありますが、貸主さん側が耐震補強(修繕)の工事を行う/負担する義務はない

 

一般的に、貸主さんは、目的となる物件を借主さんに使用収益させる義務を負っています(民法601条)。

そのため、目的の物件が契約の目的に沿って使用収益できなくなった場合には、物件の修繕をしなくてはいけません。

それでは今回の案件においても、貸主Xさんは借主Yさんの耐震補強の要求に応じなければならないのか…

こちらについては、貸主さんは上記でお伝えしたような修繕義務を負いますが、その内容は“契約内容に取り込まれていた目的物件の性情を基準として判断されるもの”とされています。

そのことより、仮に該当物件に不完全な箇所があったとしても、その点が当初から予定・予想されていた内容である場合、貸主Xさんは物件を完璧な状態にするための修繕義務を負わないで済むと言えます。

 

以下に本件と同様の参考事例をご紹介します。

【借主は、建物の状態を認識して賃貸借契約を結んだのであり、災害が起こらない時の通常の使用に対して構造上安全で、ある程度強度が保たれ、レストラン(事業)の運営に支障が及ぶような状態がなければ、貸主は修繕義務を負わない】

として、借主の耐震補強工事請求を棄却しました。

(平成19年9月19日 京都地裁判決)

 

よって今回の事例でも、貸主Xさんには、耐震補強(修繕)工事を行う義務はないものと考えられるのです。

 

 

今回のようなトラブルを回避するためのアドバイス

 

 

貸主さんは、“該当物件が契約の目的に沿って使用収益できなくなった場合”には修繕しなければなりません。

ただし、“契約の目的に沿って使用収益できなくなった”と言えるかどうかについては個別のケースにもよります。

ここで気を付けるべきポイントとしては、前の目次でご紹介した京都地裁の判決が

「古い建物だと知って借りたのだから借主さんはどのような不具合も甘受すること」

と言っている訳ではない、という部分です。

 

例としてですが、仮に耐震性能が著しく不足しており、“災害が起こらない通常の場合でもいつ崩壊するか分からない”といった状態であれば、貸主さん側が修繕義務を負う可能性がありますし、物件の老朽にともない、雨漏りがひどく、レストランの運営がままならないような場合にも、貸主側で修繕を行うことが必要であると考えられます。

このように、借主さんから修繕を求められた場合に、貸主さんが修繕を行う義務があるかどうかは、

・物件の状況 ・賃貸借契約の目的 ・修繕を求められている内容

などの、個別の事情を総合的に見ながらでないと判断がつかないケースが多いのが実情ですが、当事者間だけでは判断がとても難しい部分でもあります。

そのため、貸主さん側の解釈のみで判断をするのではなく、借主さんと直接話合いながら進めることはもちろんですが、専門家に相談しながら判断を進めるなど、慎重に対応をする必要があります。

 

また、物件の貸主として、物件に何らかの不具合/不安要素があり、そのような部分があることを前提に物件の賃貸借契約を進める場合には、その不具合/不安要素があるという事実を具体的に重要事項説明書に明記し、交渉の内容・状況を記録化したりするなど、お互いが了承しているということを記録として残しておくよう対応すべきだと言えます。

こちらも、前の目次でご紹介した京都地裁の事例のように、物件に不具合がある場合に貸主が修繕義務を負うかどうかは、賃貸借契約の締結にあたり「どのような事項が前提となっていたか」や、「契約目的が何であるのか」によって判断(判決)が異なるためです。

上記より、貸主さんとして物件の不具合に対し修繕義務を負うリスクを軽減するため、貸主さん及び借主さんがどのような物件であることを共通の認識として契約したかを立証するため、“記録を残しておく”ことが非常に大切であり有効なのです。

 

もし物件の修繕義務を問われ判断に迷うような場合には、ぜひ一度ご相談ください。

ご状況を詳しく伺いながら、大家さんの立場に立って最善のアドバイスをさせていただきます。

 

 

 

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