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賃貸人・連帯保証人の責任に関するトラブル その2 ◇違法と判断された、賃貸人による自力救済行動◇

賃貸物件をお持ちの大家さんでしたら“自力救済条項”という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。

今回ご紹介する内容は、賃借人の家賃不払いに対し、マンションの管理会社が賃貸借契約の“自力救済条項”を根拠に、管理会社の従業員を賃借人の居室内に侵入させたり、居室の鍵を取り替えさせたりしたことが不法行為にあたるとされ損害賠償を命じた判例になります。

大家さんの味方となり得る“自力救済条項”ですが、不法とみなされたこちらの判例をぜひ知っていただき、今後の参考になさってください。

 

トラブル内容(実例)

 

 

マンションの借主:Aさん

マンション管理会社:X社

 

本件契約の賃貸借契約には以下の内容の特約条項が存在している事を前提にご紹介をしていきたいと思います。

 

『賃借人が賃借料の支払いを7日以上怠ったときは、賃貸人は、直ちに賃貸物件の施錠をすることができる。また、その後7日以上経過したときは、賃貸物件内にある動産を賃借人の費用負担において賃貸人が事由に処分しても、賃借人は異議の申し立てをしないものとする』

 

本賃貸物件にAさんが入居後、居室内にカビや雨漏りの発生があり、Aさんは賃貸物件の管理会社であるX社に苦情を入れたが、X社からは「被害の弁償には応じられない」と回答。

そこでAさんは賃料の支払いを停止。そこでX社は、指定支払期日までに未払賃料を支払わないときは、本件居室の扉をロックする旨の“督促およびドアロック予告通知書”と題した文書を交付しましたが、Aさんが応じなかったので、さらに指定する期限までに連絡をしてこない場合には、以後勧告することなくドアを施錠し、本物件への立ち入りを禁止する旨の“最終催告書”と題する文書を交付し未払賃料の支払いを求めました。

しかし、Aさんはこの督促に対しても応じませんでした。

X社は、再三賃料の支払いをするようAさんに対し催告したにも関わらず未払賃料を支払おうとせず、連絡もなかったため、やがて夜逃げにつながる可能性が非常に高いと考えました。

仮に、すでにAさんが本件居室から退居しているような場合、冬季のため水道管が破裂する恐れもあり、Aさんが本物件に居住しているか否かについてX社が確認する必要が生じたとして、Aさんが外出の間、X社の従業員に指示し本件特約に基づき“自力救済行動”として、本物件に立ち入り、居室内の水を抜き、ガスストーブのスイッチを切り、本物件の鍵を取り替えさせました。

 

 

 

判決内容

 

 

◆本件の特約の文言は、賃料の支払いを怠った借主に対し支払の履行を矯正することを目的としたものと認められ、特約に基づいて行われる措置(本物件への立ち入りおよび鍵の取替え)が借主の平穏に生活する権利を侵害する内容であることは明らかである、催告のように金銭債権の行使方法として社会通念上通常のものであると認められる範囲を大きく超えており、このような手段による権利の実現は緊急にやむを得ない特別の事情がある場合を除き原則として許されない。

→よって、本件の特約は無効である。

◆管理会社の管理責任については、危険な事象が起こる恐れがある場合に、管理業者がこの危険の回避のため、必要かつ相当な範囲で措置を講ずることは一般に許容される。

本件についてAさんは、X社の催告に応じない状況にあったといえるが、当時X社がAさんと全く連絡をとる事ができない状態にあったとまでは言えない事に加え、X社がAさんによる賃料支払い拒否の理由を知っていた。

また当時、居室内において水道管破裂などの危険な事象が起こり得るおそれは客観的に存在せず、本件のような行為はX社の管理責任を果たすために必要であったという事はできない。

→よって、X社に、慰謝料のほか、鍵の取替え費用及び弁護士費用の支払いを命じる

 

 

 

自力救済に関する注意点

 

 

今回のような賃料不払いのトラブルが起こった際、“自力救済”の可否自体については、最高裁判例が

【私力の行使は、原則として法の禁止するところであるが、法律に定める手続きによったのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能または著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存在する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲で、例外的に許される】

として一般的な基準を示しており、本件の判決においてもこちらの基準が適用されました。

 

本件では、あらかじめ当事者間で“自力救済行動”を容認する特約が締結されていることが特徴ですが、“自力救済”そのものが本来原則として違法であり、本件のように特約条項が締結されていても緊急性及び必要性に欠ける“自力救済”が違法であることには変わりがないという結論です。

賃貸管理業においては、家賃等の不払いへの対応は常につきまとう問題であり、早期解決を求めるあまりに今回のような展開になってしまうことももしかしたらあるかもしれませんね。

今回の判決(原則)を知っている・知っていないでは、実際にこういった場面に出くわした際の対応に大きな違いが出てくると思いますので、安易に“自力救済”を理由に強硬な手段を取る事は控え、しっかりと業務知識のある不動産会社や管理会社に相談をすることをおすすめいたします。

 

 

 

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