今住んでいるご自宅が築年数の経過と共に古くなった時に、「建て替え」をするのか、「リフォーム」をするのか、どちらにするか迷う方が非常に多いと聞きます。
今回は「建て替え」をしたいと思った時に注意すべき点や、「建て替え」「リフォーム」それぞれのメリットとデメリットなどについてもご紹介したいと思います。
目次
注意点その1 建て替えができるか法律が関係することがあります
築年数が経過すると、家の中の見える部分だけではなく、配管や屋根や外壁材など、住宅の構造全体が古くなり、表面的なリフォームでは不十分と感じることも。
しかし、現在の建築基準法やお住まいの都市計画法の規定により必ず守らなければならない基準がありますので、リフォームだけでは済まない場合や、逆に家を取り壊しても希望通りには建て替えができないケースがあります。
その中の1つの「新耐震基準」では、大地震による建物の倒壊を防ぐだけではなく、建物の中にいる人の安全性を確保し守ることを主として定められています。
1981年6月以前のに建てられた建物は“新耐震基準前”ですので、建て替えを検討するか、リフォームを検討する場合でも耐震工事も一緒に検討することをおすすめします。
また、建て替えをする場合には、現在の“建築基準法”や“水道管のサイズ”なども確認をする必要があります。
水道管のサイズに関しては、地域によっては昔と比べて住宅が増え、生活用水の供給量も増えた影響でサイズアップをしなければならないことがあり、その場合は居住者の負担により多額の費用がかかります。
また、都市計画法により建て替えの際は建物を小さくしなければならなかったり、中には建て替えそのものができない地域に指定されていることもありますので、法律が関わる制限がないかどうかをまず確認しましょう。
注意点その2 家族の心情に配慮を
自分の親、またはその親世代から長い間生活をしてきた家には、ご家族の一人ひとりそれぞれの思い出がありますよね。
そこで問題となるのが、ご実家を建て替えするケース。
特に親御さんと同居でお子さんの世帯が建て替えを希望した際に、ご両親世代が今までずっと暮らしてきた思い出の詰まった我が家を取り壊すことに消極的で、建て替えに同意をもらえない場合があるようです。
今後長い目でみた際、これからその場所で長い間生活をしていくのは若いお子さんの世帯になり、今の生活様式に合った住宅にしたいと思うものですが、ここで親御さん世代とあまり話合いの場を設けずに進めてしまうと、後々の家族関係がギクシャクしたものになりかねません。
一緒に住む皆さんの意見を大切に調整しながら、長期的な視野をもった話合いをすることが非常に大切です。
注意点その3 土地の名義人の確認を
ご自身の祖父母の世代から親御さんの世代に土地が相続されている場合、ご両親の兄弟・姉妹やその他親族の何人かの複数人の名義になっているケースがあり、建て替えの際は名義人全員の同意が必要となります。
名義人の一人になっているご親族に建て替えに同意してもらえず、建て替えができないということも有り得ますので、事前に確認をしておきましょう。
また、名義人である親類の一人と疎遠になっており、同意を得るために連絡を取ろうとしたところ誰も現在の居場所が分からず、調査会社に住所・居場所の特定を依頼し調査費用が掛かってしまったというケースもあるようです。
そういった可能性もある事から、土地の名義人確認は期間に余裕をもって進めておくことをおすすめします。
「建て替え」と「リフォーム」のメリットとデメリット
こちらでは、「建て替え」と「リフォーム」それぞれのメリットとデメリットをご紹介しますので、それぞれ見比べながら「建て替え」にするか「リフォーム」にするか、検討の際の参考となれば幸いです。
建て替えのメリットとデメリット
◇メリット
・希望の間取やデザインの住宅に住める
・すべてが新しい建物に住める
・老朽化した設備や耐震性に対する不安がなくなる
・リフォームに比べ資産価値が高い
・税制上の優遇が多い
◇デメリット
・完成までの間生活するための仮住まいが必要となる
・費用の負担が大きい(既存建物の解体費用も多額)
リフォームのメリットとデメリット
◇メリット
・一般的に建て替えよりも費用が安く済む
・家族の思い出や趣のある建物の味わいを残すことができる
・生活をしながらの工事も可能
◇デメリット
・建物内部、構造部分は古いままのため安心感が薄れる
・構造上希望の間取にできないことがある
・リフォーム後も、リフォーム未対応の部分のメンテナンス費用が新築に比べ多くかかる事が多い
上記を参考に、リフォームで十分なのか、それとも長期的にみて建て替えを検討した方が良いのか、それぞれのご家庭の状況を当てはめながら、ご自身に一番合った選択をしていただけたらと思います。