住宅ローンについての知識あれこれ その1

/ J-REC公認不動産コンサルタント、宅地建物取引士

マイホーム購入の際に利用する住宅ローンには種類があり、どれを選ぶかで支払う金利の額に差が発生したり、生活に影響することも。

今回は住宅ローンについてあらかじめ知っておくべき、基礎となる知識についてご紹介します。

 

返済額に大きな差が! 金利タイプのメリットとデメリットについて

 

住宅ローンを組む上で、金利の支払いはどうしてもある程度覚悟をしなければならない部分ですが、現在のような低金利と言われる金利水準でも長期のローンを組む場合には、最終の支払額が借入額の1.5倍くらいになることもあります。

また、利率が上昇した場合、最終的に借入額とほぼ同額の金利を支払うことになる可能性もあります。

例えばですが、2,000万円の借入に対し2,000万円もの金利を払うとなると…なんだかとてももったいない気がしますね。

本来、金利は現金払いなら支払う必要のないものです。かといって、高額なマイホームを現金で購入するのも現実的にはなかなか考えにくい事だと思いますので、少しでも余計な支払いが増えていかないよう住宅ローンに関する知識を身につけ、負担を減らせる手段を選べるようにしておくことをおすすめします。

住宅ローンの金利にはいくつかのタイプがあり、タイプごとに「メリット」と「デメリット」がありますのでそれぞれの特徴をご紹介したいと思います。

 

全期間固定金利型

-メリット-

・返済期間中に市場の金利が上がっても金利は変わらず、金利上昇の影響を受けない

・借入の段階で総支払額が確認でき、生活資金の計画が立てやすい

-デメリット-

・変動金利型より金利が高めに設定されるため、高金利時に契約(借入れ)した場合、完済まで高金利のまま返済を続けることになる

 

変動金利型

-メリット-

・固定金利型よりも金利が低めに設定されている

・金利が高い時期の借入れの場合金利が下がると返済額が下がる

・金融機関によって金利優遇キャンペーンを行うことがあり、低金利で借り入れができることがある

-デメリット-

・金利の変動があるため借入の段階で総支払額がわからない

・金利が上がった場合、その分返済額が増える

・仮に極端に金利が上昇した場合に未収利息が発生し、元金が減りにくくなる

・金利の切替え(見直し)の時期には手数料が必要となる

 

固定金利選択型

-メリット-

・固定金利期間が短いほど、当初の金利が低めに設定される

・一定期間は返済額が確定するので、変動金利型に比べ返済中の生活資金計画が立てやすい。

・金利が高い時期の借入れの場合金利が下がると返済額が下がる

・金融機関によって金利優遇キャンペーンを行うことがあり、低金利で借り入れができることがある

-デメリット-

・金利の変動があるため借入の段階で総支払額がわからない

・金利が上がった場合、その分返済額が増える

・金利の切替え(見直し)時期には手数料が必要となる

 

 

自分にはどの金利タイプが向いているの?

全期間固定金利型

契約時に設定した金利が完済時まで変わらない金利タイプです。

金利に変更がないため返済額が増えるといったリスクがなく、当初の計画に沿った返済が可能です。

長期間の返済になりますので、安定した返済額で安心を求める方におすすめです。

賃貸住宅の家賃のような感覚で毎月決まった同じ金額を返済していけるのもポイントですね。

変動金利型

毎年、4月1日と10月1日の年に2回金利の見直しが行われます。

返済額そのものは5年間は変更ありませんが、返済額の中で「元金」と「利息額」の割合が変動します。

変動金利型は、長期ではなく短期間でローンを組む方や、もし金利が上がったとしても一括返済できるような手元資金に余裕がある方、また、経済、株価・金利などの動向に敏感な方におすすめです。

 

固定金利選択型

一定期間の金利が選択できる固定金利選択型。

選択した期間の終了後に再度金利タイプを見直すものです。

固定金利期間は「3年」「5年」「10年」「20年」などに設定されているものが一般的に取り扱われていますが、現在経済的に余裕があり、繰り上げ返済も視野にいれている方におすすめののタイプです。

 

 

住宅ローンの種類と返済方法について

住宅ローンは、大きく分けて「民間融資」と「公的融資」の2つに分けられ、民間融資は、都市銀行や地方銀行、信用組合、信用金庫、労働金庫、JA、ネットバンクなど、多くの金融機関が住宅ローンのサービスを取り扱っています。公的融資は、各自治体で生活をするための人に向けた「自治体融資」と、財形貯蓄をしている会社員を対象とした「財形融資」があります。

特に民間融資に関しては、各機関がそれぞれ独自のサービス・プランを用意しており条件に特長がありますので、それぞれの条件をしっかりと比較・検討することをおすすめします。

 

また、住宅ローンの返済方法には「元利均等払い」と「元金均等払い」の2つの方法があります。

■元利均等払いと元金均等払いの違い

「元利均等払い」は、どの機関でも勧められることが多い多い返済方法で、月々の返済額(元金と利息の合計額)が毎月均等で、月の返済額が一定のため支払いのイメージがしやすいという点において、計画的に返済したい方に選ばれています。

上記に対し「元金均等払い」は、元金部分を一点の支払い回数で返済し、元金残高に応じて利息部分を算出し、元金とその利息の合計額を月々返済するという方法です。

返済開始後は利息部分の支払いが多く、借入金(元金)の残高が減っていく伴って利息部分も減っていく方法で、働き盛りの若いうちにどんどん返済したいという方におすすめの返済方法です。

手元資金や生活資金計画に合う返済方法を選ぶことで後々の無駄な支払を抑える事も可能ですので、ぜひしっかりと下調べをし、ご自身の生活に合った返済方法を見つけていただけたらと思います。