不動産所有者等がテナントの賃料支払いを減免・猶予した場合の支援策について

/ J-REC公認不動産コンサルタント、宅地建物取引士

オーナーの方が賃料の支払いに困難なテナントに賃料を減免した際、その分を税務上の損金として計上できることになりました。

新型コロナウイルス感染症の影響により、飲食店をはじめとする取引先において、入居するビル等の賃料の支払いが困難となる事案が生じている状況です。
こうした取引先に対し、不動産を賃貸するオーナーが賃料を減免・猶予した場合、状況に応じて以下の支援策が活用できます。

①賃料の支払いを猶予した場合

(1)税・社会保険料の納付猶予

◆ 新型コロナウイルス感染症により、税・社会保険料を一時に納付することが困難な場合は、申請することにより、原則として1年間、納付が猶予される(延滞税(延滞金)は軽減)。
◆ なお、令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納期限が到来する税・社会保険料については、新型コロナウイルスの影響により事業等に係る収入に相当の減少が
あった場合において、一時に納付することが困難と認められるときは、無担保・延滞税(延滞金)なく、1年間納付を猶予することができるようになる(関係法令の成立が前提)。
この場合、不動産所有者等がテナント等の賃料支払いを減免した場合や、税・社会保険料の納付期限において賃料支払いを猶予中の場合も収入の減少として扱われることとなる見込み。

(2)固定資産税・都市計画税の減免

◆ 中小事業者の保有する設備や事業用建物の2021年度の固定資産税及び都市計画税を、売上の減少幅に応じ、ゼロまたは1/2とする。(関係法令の成立が前提)
(2020年2~10月の任意の3ヶ月の売上が前年同期比30%以上50%未満減少した場合は1/2に軽減し、50%以上減少した場合は全額を免除する。)
この場合、不動産所有者等がテナント等の賃料支払いを減免した場合や、書面等により賃料支払いを猶予した場合も収入の減少として扱われることとなる見込み。

 

②取引先に対して賃料を減免した場合

上記(1)(2)に加え
(3)免除による損害の額の損金算入

◆ 法人・個人が行った賃料の減額が、例えば、次の条件を満たすものであれば、その減額した分については、損金として算入可能とする。
① 取引先等において、新型コロナウイルス感染症に関連して収入が減少し、事業継続が困難となったこと、又は困難となるおそれが明らかであること
② 賃料の減額が、取引先等の復旧支援(営業継続や雇用確保など)を目的としたものであり、そのことが書面などにより確認できること
③ 賃料の減額が、取引先等において被害が生じた後、相当の期間(通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間)内に行われたものであること
(※ 既に行った賃料の減免を行う場合についても、同様とする。)

詳しくはこちらのチラシをご参照ください。

関係法令の成立が前提のため、今後の動向にも注目していきましょう。