火災保険の大切さを知りましょう

/ J-REC公認不動産コンサルタント、宅地建物取引士

火災保険について知りましょう

 

火災や地震の発生確率は低いと思われるかもしれませんが、万が一、発生してしまった場合の損害は多大です。

現に弊社でも2019年1月3日に管理物件が火災による被害を受け、現在もその事後処理で大変な状況です…

こうした不測のリスクを回避するために必要なのが保険です。

今回のコラムでは火災保険についてご説明したいと思います。

(地震保険は次回のコラムでご説明致します。)

 

火災により建物が全焼した場合、建物がなくなればもちろん、家賃収入もなくなります。

借入金がある場合には返済も滞ります。

さらに、出火原因によっては、入居者から損害賠償を求められる可能性もあります。

大家さんとして、こうしたリスクを回避するためにも火災保険への加入は絶対に必要です。

 

火災保険の対象となる目的物は、建物そのものと家財とに分けられます。

建物を目的物とした火災保険には大家さんが加入し、家財を目的物とした火災保険には入居者自身に加入してもらうことになります。

 

なお、名称は「火災」保険ですが、実はほとんどの火災保険は、

 

水漏れなどの「水災」

雷被害の「落雷」

竜巻などの「風災」

大雪被害の「雪災」

大粒だと建物に被害の及ぶ「ひょう災」にも対応します。

 

特に共同住宅の場合、給排水設備の事故などによる水漏れによる事故はかなり高い頻度で起こりますので、補償の対象となっているか加入する保険内容を必ず確認しましょう。

 

なお、地震が原因の火災は対象外になりますので、地震保険への加入もしたほうがよいでしょう。

 

 

保険金額はどうやって決めるの?

 

火災保険でおりる保険金の設定方法には、保険をかける物件にどれぐらいの価値があるのかを調査しなければなりません。

 

この物件の価値によって給付される金額を「保険価額」と呼びます。

保険価額の算出方法には、「新価」「時価」があります。

◇「新価」とは

「設定した保険金額を上限に、その物件と全く同じものを再建築する、あるいは購入する場合に必要な金額」

◇「時価」とは

「新築時の額から経過年数などで消耗した分を差し引かれた金額」

 

例えば、20年前に新築で1000万円建てた建物に、火災保険を「時価」で再契約することにしたとします。

 

建築時より物価が上昇したことにより、今、同等の物件を入手するためには1500万円を必要とするようになりました。

 

しかし、今住んでいる物件は20年が経過したことで劣化し、500万円分消耗したと判断されました。

このような場合、1500万円(新価)から500万円(消耗分)を引いた1000万円がその物件の時価となります。

もし、今建物が全焼してしまった場合、降りる金額は1000万円のみです。

新たに今の物価で同等の建物を建てたくても、この保険では500万円が足りないということです。

 

このように「時価」では、経過年数によっては、再建築に必要な金額や修繕するのに必要な金額を保険金として受け取れない場合があるのです。

 

したがって、建物の火災保険金額の決定方法としては、保険料は割高になりますが、「新価」にするのが望ましいでしょう。

 

ご注意いただきたいのが、金融機関主導で加入した保険は「時価」であることが多いです。

 

金融機関のリスクは借入金が返済不能になることであり、その借入金の残高は、時間の経過と共に減少しますので、時価で算出される保険金で賄えると考えているわけです。

 

したがって、金融機関主導の保険の場合は、「新価」の保険契約も検討しましょう。

 

現在加入している保険契約が「時価」なのか「新価」なのかを改めて確認してみてはいかがでしょうか?

 

 

注意!出火原因によって対応が変わります。

 

火災の出火原因が、入居者の責任となるかどうかで対応する保険が変わります。

 

入居者の責任とならない火災原因として、共用部分からの出火、自然災害、事故、放火、類焼(隣の建物からのもらい火)などがあります。

 

隣接する建物の火災から燃え移った場合、出火元である隣接建物の所有者や使用者に損害賠償を請求することはできません。

 

「失火の責任に関する法律」により、故意または重過失がなければ免責されるからです。

 

こういったもらい火に備えるためにも火災保険に加入し、自分の身は自分で守ることが必要です。

また、隣室や隣家からのもらい火で自分の家財が被害にあっても、その失火者に損害賠償請求することができないので、自分の身(財産)は自分で守るしかないのです

 

入居者の責任となる火災原因としては、例えばタバコの火の不始末があります。

この場合は入居者が加入している火災保険で対応します。

火災を起こしても重大な過失がなければ損害賠償責任は負わないが、入居者には、賃貸借契約によって、退去時に「原状回復する義務」が課せられています。

 

万が一火災によって建物を焼失させてしまったり、損害を与えた場合は、原状回復するための義務があり、それができない場合は損害賠償責任が発生してしまうのです。

 

そこで火災保険の出番なのです。

 

火災などの大きな事故を起こしてしまった場合、建物自体は大家さんの火災保険でカバーできるとしても、ご自身の家財や修復費用、隣家への補償などは、大家さんの火災保険では賄えきれません。

 

入居者にはこのことをよく説明し、大切な財産を守るために契約時は火災保険への加入を勧めましょう!