入居条件緩和の具体例
大家さんが入居募集を出す際は、物件に応じて様々な条件を設けていることと思います。
その主な内容としては、
1.敷金なし 2.礼金なし 3.フリーレント 4.家賃割引キャンペーン 5.仲介手数料無料(大家さん負担) 6.保証会社費用無料 7.更新料初回無料 8.火災保険料無料 9.引越し代サービス/一部負担 10.ペット・楽器可 11.外国籍の方の受入 12.高齢者の受入 13.生活保護者の受入 14.ルームシェア可 など
上記を見ていただくと入居条件緩和には二通りあり、
・1~9の「入居費用条件」として大家さん側が費用面を負担をすることで成り立つ条件緩和策
・10~14の「入居者条件緩和(非費用型)」として入居者側の間口を広げるための緩和策
があることがお分かりいただけると思います。
“敷金・礼金ゼロ” という入居初期費用を軽減するような条件はお客様の間でもかなり浸透しており、それに伴って初期費用を少しでも抑えたいとするお客様が増えてきていますが、敷金・礼金となると家賃1、2ケ月分(約10~20万円)にあたる入居初期の収入が減ることにもなります。
大家さんの費用負担が少ない緩和策としては
・保証会社費用無料 ・火災保険料無料 ・引越し代サービス/一部負担
といった対応策があります。
「火災保険料無料」は、入居時は火災保険加入を入っても更新時に入っていただけないお客様が多いのも事実です。
実際に火災が起きて物件に損害が出るような被害があった時に「お金がない。払えない。」と言われ、結果的に大家さんが泣き寝入りするようなケースもあります。
大家さん側の出費が増えてしまうことになりますが、上記のような火災時のリスクを回避できることを考えると入居条件緩和の1つの策としてしまうことも逆に良いのかもしれません。
~入居者条件の緩和について~
「ペット可」
「ペット可」については、実際は意外と少ないのが現状ですので、「ペットOK」とするだけで、反響が出る可能性があります。
ただ、既存の入居者様の中にはペットが苦手な方や「ペット不可」ということで入居している方もいらっしゃいます。
以前からの入居者様とのトラブルが起こらないよう配慮をすることと、「ペット可」物件は建具やフローリングの傷や汚れなどは不可避ですので、賃貸借契約書の「特約次項」で原状回復の内容や使用制限について記載しておくことが大切です。
「高齢者を受け入れる」
高齢者が入居を断られてしまうケースが近年増えていますね。
孤独死のニュースも流れ、さらに「火災」などの事故のリスクを考えると当然の流れのようにも思います。
しかし一方で、『高齢者を断る大家さんが多い』=『入居を希望する高齢者の方は多数いる』 という視点でみていただくと、高齢者を積極的に受け入れることは空室を早期に解消するための近道といえるのです。
高齢者の入居を受け入れる際は、孤独死リスクを減らすため「見守りサービス」へ加入必須としたり、孤独死に対応した保険商品を契約するなどの対策が可能です。
高齢者に住宅を提供することは立派な社会貢献にもなりますので、ぜひ条件緩和策を検討する際に候補に入れみてはいかがでしょうか。
入居条件緩和(費用面)が空室解消に有効な理由
最近は、地域によっても空室率の差が出てきており、空室率が高い地域に賃貸物件をお持ちの大家さんは入居者募集に苦戦している方も多いのではないでしょうか。
その場合は、思い切って費用面の入居条件を変えることで入居が決まりやすくなることがあります。
物件探しをしているお客様は、「入居費用」「仲介手数料」「引っ越し代」「家具、家電、生活雑貨などの購入」などなど、入居の際には一気に出費が重なるため負担がとても大きいものです。
そこで出費を気になさるお客様に喜ばれているのが、よくある「敷金・礼金ゼロ」などの入居費用を下げる方法です。
そして更に、最近は上記に加えて「フリーレント」や「家賃割引キャンペーン」という条件の物件も増えてきています。
その理由としては…
例えば 『家賃2か月間無料!!』 とした場合。
入居時に敷金・礼金を1ヶ月分づつ(合計2ケ月分)支払ったとしても、入居後2カ月間は家賃分の支出が0円となり、“敷金・礼金ゼロ”とするよりも後々の生活に安心感を覚え割安に感じるお客様もいらっしゃいます。
いずれの方法も、お客様の入居時・入居直後の負担が軽くなることで入居決定へのハードルが低くなると思われます。
家賃の値下げは最終手段に
家賃を下げることは「物件の価値が下がる」というリスクが伴います。
賃貸マンションやアパートなどの収益物件の価値評価方法として「収益還元法(該当する収益物件の「収入」を元に、物件の価値を逆算する方法)」があります。
その中の「直接還元法」とは、一定期間(一般的に一年間)の純収益を還元利回りで還元し不動産の価格を算出する方法です。
〔 一年間の純収益 ÷ 還元利回り=不動産価格〕
という計算式から算出されます。
<例として>
一年間の収益 100万円/一年間の経費 30万円/還元利回りが6% と査定される不動産の場合
一年間の純収益 「100万円-30万円」=70万円
これを上記の計算式に当てはめてみると
不動産価格は 「70万円÷0.06=約1166万円」 となります。
家賃を下げた場合は、下げた分の一年間の純収益が減ってしまい、その分収益還元法で計算した場合の不動産価格が「低くなる」=「物件の価値が下がる」ということにつながります。
入居条件の緩和で空室長期化対策を考える場合、「家賃を下げる」という判断は最終手段とするようにしてください。
また、家賃の値下げを検討する際は賃貸経営の知識に詳しい管理会社や不動産会社の担当などに相談し、値下げをすることで発生するリスク・デメリットをよく確認したうえで決断をすることをおすすめします。