空室が半年、1年、と長期にわたり、入居者募集にも反響がなく内覧の申込もなかな来ない。
そういった空室長期化の問題は「家賃を下げる」ことで解消される可能性は大いにありますが、安易に家賃を下げることはオーナー様にとって長い目で見た場合に有益な手段とは言い難い部分もあります。
まずは家賃を下げる前に、「空室が長期化している理由」と「どうすればお客様の気を引くことができる(魅力的な)物件になるか」について早い段階で考え、対策をとることが非常に大切です。
空室が続く物件の特徴して「汚い」「古い」の2点が最も多い原因として挙げられます。
その他にも「狭い」や「駅から遠い」などといった原因もありますが、こちらは対処するにはなかなか難しいものがあります。
オーナー様はまず、
・お持ちの建物の状態が「汚い」「古い」に当てはまるかどうか
・お客様にとって魅力を感じてもらえる物件かどうか
を客観的に捉えてください。
ご自身で判断に迷うような場合は、ご家族や知人の方からの客観的な意見を求めるのも良いのではないでしょうか。
最近は、不動産業者や仲介業者のホームページなどインターネット上で物件を探すことが非常に多く、「写真付き物件であるか、ないか」も重要視され、物件写真の第一印象で入居先の候補になるかならないかを判断されるようです。
たとえ駅近で家賃が予算と合っていても物件の見た目・内部が「清潔な物件」でなければお客様に気に入っていただくことは難しくなってしまいます。
築年数が経ち多少の「古さ」が感じられたとしても「清潔感」さえ感じられれば古さはある程度カバーされますので、問合せの間口は広がるのではないでしょうか。
長期間の空室を回避するためには、大事なお客様に選んでいただけるよう、建物の外観(外壁や共用通路、ごみ置き場など)の整備を徹底すること、そして部屋の中やキッチンやお風呂・トイレなどの水回りの清潔さの維持については何よりも頑張っていただきたいポイントです。
間取りや設備は今の時代に合ってますか?
現在、多くの方が参考とする賃貸情報誌やインターネットには間取り図と専有面積の情報も掲載されていることが一般的です。
数多くある同じような間取り・広さ・家賃の中から最適な物件を選ぼうとしていますので、他の物件と差がつく、入居者に好まれる魅力的な間取りを考えて変更していくことは空室長期化を解消するためのキーポイントになります。
家賃・条件は適正ですか?
「建物自体の見た目や設備は標準的、間取りもそんなに悪くないのになかなか入居者が決まらず空室が続いている」といったケースもあります。
上記のように、空室長期化の原因とされる主な理由「汚い」「狭い」「間取り」において特に該当する訳ではないのに空室が長期化している場合の要因としては、家賃設定が適正ではない(高い)ことも考えられます。
オーナー様の物件近くに、築年数や設備、間取りなどが同程度の物件があって、もしそちらの方が家賃が低ければ、家を探しているお客様の心理としては同じ条件ならほぼ家賃の低い方を選ぶはずです。
管理会社を通しているようであれば、何が原因でお客様の問合せがない(少ない)/内覧になっても申込みに至らないのかを確認したうえで、建物や設備に改善できる点があれば対応し、そこではなく「家賃が」ということであれば、家賃を下げる事も視野にいれる必要があるかもしれません。
ただ、家賃を下げることで発生するリスクがあり、「物件の価値に影響を及ぼす」ということです。
こちらでその件について少し紹介いたします。
賃貸マンションやアパートなどの収益物件の価値評価方法のひとつに「収益還元法(該当する収益物件の「稼ぎ」を元に、物件の価値を逆算する方法)」というものがあります。
その中の「直接還元法」についてですが、直接還元法とは、一期間(通常一年間)の純収益を還元利回りで還元し不動産の価格を算出する方法です。
〔 一年間の純収益 ÷ 還元利回り=不動産価格〕
という計算式が用いられるのですが、下記に具体的な数字をあてはめて挙げて不動産価格を計算してみます。
一年間の収益 100万円/一年間の経費 30万円/還元利回りが6% と査定される不動産と仮定
一年間の純収益は 「100万円-30万円=70万円」 となります。
これを上記の計算式に当てはめてみると
不動産価格は 「70万円÷0.06=約1166万円」 ということになります。
家賃を下げた場合には、下げた分の一年間の純収益が減りますのでその分不動産価格が低くなるということです。
空室長期化を解消するためには家賃を下げるという方法を取らざるを得ないケースも出てくると思いますが、その際は賃貸経営の知識に詳しい管理会社や不動産会社の担当などに相談し、値下げをすることで発生するリスク・デメリットをよく確認したうえで決断をすることをおすすめします。