内覧者=成約 につなげるための工夫いろいろ

/ J-REC公認不動産コンサルタント、宅地建物取引士

空室対策の方法として「条件緩和」や「人気の設備を取り入れる」など、こちらでもいくつかの方法を紹介させていただきましたが、もっと手軽にできる工夫として大家さんご自身に積極的に取り入れていただきたい内容をいくつかご紹介いたします。

物件の管理編

 

~室内はもちろんのこと、共用部の整理・清掃をしっかりと~

室内や外観・共用部がの第一印象がお客様にどのように映っているかを意識されたことはありますか?

ご自身で長年所有している物件は“汚れや古さ”といった部分に客観的になかなか気付けないことがあります。

お客様は複数の物件を内覧し、比較検討しながら物件の絞り込みをしていきますが、間取りや家賃などに関しての条件が同等で揃っていた場合、最終的な決め手となるのは「あの物件は綺麗に掃除されていた(管理が行き届いていた)な」といった印象であることが非常に多いものです。

内覧に行った際に感じた「第一印象」がお客様の印象を大きく左右しますので、以下の項目をチェックしてみてください。

 

<外・共用部>

・駐輪場や階段、廊下などの共用部分にゴミは落ちていませんか?

・泥や葉っぱなどの汚れが溜まっていませんか?

・入居者用のゴミ捨て場は綺麗に掃除されていますか?(長期間残されているゴミはないですか?)

・共用部に他の入居者さんの私物が置かれていませんか?

<室内>

・水回りの汚れや部屋の隅のホコリは溜まっていませんか?

・洗面所や台所の排水口から臭いがしたりしませんか?

・雨戸や窓を閉め切ったままではなく換気をしていますか?

 

廊下などに入居者さんの私物が置かれている状況はよく目にしますが、こちらもあまり印象の良いものではありませんので持ち主の入居者さんへ声を掛け、撤去をお願いしましょう。

 

室内に関しては、清掃が行き届いていたとしても「臭い」が印象を悪くしてしまうケースがあります。

空室になっている部屋は長時間締め切っているためホコリ臭さやカビ臭さといった臭いが発生しがちですので、2週間に1回程度窓を開けて換気をする、もしくは換気扇を付けっぱなしにしておくことをおすすめします。

また、夏場は排水口からの臭気を防ぐ封水が蒸発してしまいますので週に1回はキッチンやトイレ、洗面所の水を流すようにするのが良いでしょう。

トイレの蓋は必ず閉じ、さらに排水溝にはラップをかけておく方法も有効です。

上記はほぼ費用をかけずにできる対策ですので、ぜひ取り入れて物件の第一印象を良いものにしていってください。

 

内覧のお客様への心配り

 

~内覧のお客様へぜひ細やかな心配りを~

入居を考えている方は、大家さんの人柄を気にされる方も多いものです。

・お客様がドアを開けた際に一番に目につくような玄関のスペースに、綺麗なお花や小物が飾り付けをする

・似顔絵などを入れた大家さんの自己紹介などのチラシをおいておく

そういった工夫をすることで、きっと大家さんの心遣いや歓迎の気持ちが伝わるのではないでしょうか。

他には・・・

★メジャー、拡大間取図、ボールペンを用意しておく

 

不動産屋さんがお客様へお渡しする募集チラシの間取図はあまり大きい図ではないことが多く、書き込んでメモをとるスペースも限られています。

そこで、内覧のお客様に引越後をイメージをしていただきやすいように、大きく拡大した間取図(A4サイズ相当)とボールペンを用意したり、今お持ちの冷蔵庫や洗濯機などの家電が設置できるかどうか判断しやすいようメジャーも置いておくことで入居後のイメージを膨らませていただくことができます。

色々とメモをとったり測ったりしながら不動産屋さんからの説明を聞く時間も取れますし、物件に滞在する時間が長くなりますので、細かい部分まで印象に残ることができ成約確率も上がります。

 

プラスαの魅力ポイント

 

~1 アピールポイントにPOPを貼っておく~

内覧にいらしたお客様からすると、物件の案内してくれる不動産屋さんの担当は何でも知っていると思いがちですが、実はそうではなく、十分な説明ができるほど情報を持っていないことがほとんどです。

これでは、内覧者からの疑問に即座に答えることができずせっかくの成約機会を逃すことになりかねません。

そこで、一番物件について知っている大家さん自ら、物件についてしっかりアピールしたい点についてあらかじめ作成したPOPを部屋の中に貼っておくと良いでしょう。

例えば・・・

■センサーでパッと点灯、自動センサーライトです!

■防犯ガラスと窓ロックでしっかりと防犯対策!

■カビの出やすいお風呂も小窓があるから換気もバッチリ!

などなど。

POPだけではなく、よく聞かれる入居後の質問(ごみ出しのルール、共用部の使い方、自転車置き場の使い方、駐車場利用方法)などについてのQ&Aを作ってお渡しするのも良いと思います。

 

~2 照明器具を設置しましょう!~

大家さんによっては「入居者の好みがあるから」と、照明をあえて設置しない方もいらっしゃいますが、お客様はいつ内覧にいらっしゃるかわかりません。

明るいうちに内覧に来たとしても外が暗くなってきてしまうことも考えられます。

もし部屋に照明がなかったら、せっかくのきれいなお部屋もゆっくりと見てもらう事ができなくなってしまいます。

安いシーリングライトなら4000円程度で購入することができ、入居が決まったらお客様の希望に応じて撤去すれば良いので、ぜひ照明器具は設置するようにしてください。

 

 

今回は、比較的費用の掛からない範囲でできる空室対策の工夫をご紹介しました。

内覧は成約の第一歩です。貴重な内覧のお客様を成約につなげるためには、大家さんの熱意や心配りが伝わるような工夫・対策が不可欠ですので、ぜひ参考になさってください。